お問い合わせはこちら

商品・サービス

SUS440Cとは?特徴から切削加工の短納期・コストダウンポイントまで解説!

SUS440Cの精密切削加工

高い硬度と耐食性を両立するステンレス鋼SUS440C。金型部品や治具、チャックなどに広く使われる一方、難削材のため加工の難易度は高い材料です。本コラムでは、SUS440Cの特徴から、切削加工で短納期・コストダウンを実現するためのポイントまでをわかりやすく解説します。

SUS440Cとは|高硬度と耐食性を両立するステンレス鋼

SUS440Cとは、マルテンサイト系ステンレス鋼に分類される鋼種のひとつです。ステンレス鋼のなかでも炭素を多く含むことが特徴で、焼入れによって非常に高い硬度(HRC55〜58以上)を得られます。ステンレス鋼が本来もつ耐食性(錆びにくさ)と、工具鋼に匹敵する硬さ・耐摩耗性を併せ持つ点が、SUS440C最大の魅力です。

この「錆びにくく、硬く、摩耗に強い」という特性から、SUS440Cは繰り返し使用される精密部品や、耐久性が求められる金型・治具の材料として、電子部品・半導体・自動車・医療機器といった幅広い分野で採用されています。

SUS440Cの特徴とメリット・デメリット

SUS440Cを部品材料として選ぶ際は、メリットと注意点の両面を理解しておくことが大切です。

区分 内容
メリット①
高硬度
焼入れによりHRC55〜58以上の硬度が得られ、耐摩耗性に優れる。ワークと繰り返し接触する部品でも長寿命。
メリット②
耐食性
ステンレス鋼のため錆びにくく、洗浄や湿潤環境を伴う用途でも品質を保ちやすい。
メリット③
寸法安定性
硬度と剛性が高く、精密部品に必要な形状の安定性を確保しやすい。
デメリット①
難削材
硬く粘りがあるため加工が難しく、工具の摩耗が早い。加工には相応の設備とノウハウが必要。
デメリット②
工程が増えやすい
一般的に「切削→焼入れ→研削・放電・磨き」と工程が多く、納期・コストがかさみやすい。

とくに注目したいのが、耐食性を担保しながら高い硬度を得られる点です。同じ高硬度材でもSKD11などの工具鋼は錆びやすいのに対し、SUS440Cは錆びにくさと硬さを両立できるため、清浄性や耐食性が求められる用途で強みを発揮します。

SUS440Cの主な用途

SUS440Cは、その特性を活かして次のような部品に多く用いられます。

分野 主な部品例
金型・治具部品 パンチ・ダイなどの金型部品、組立治具、ゲージ類
搬送・保持部品 ワークガイド、チャック(保持具)、吸着パッド・吸着ノズル
その他 ベアリング部品、刃物、ノズル、耐摩耗性・耐食性が求められる機械部品

いずれも、繰り返し使用され摩耗にさらされる部品、あるいは錆びを嫌う環境で使われる部品です。SUS440Cはこうした「耐久性」と「清浄性」を同時に求められる場面で選ばれています。

SUS440Cが「難削材」といわれる理由

SUS440Cは優れた材料である一方、加工の現場では代表的な難削材として扱われます。その理由は次のとおりです。

まず、硬さと粘りを併せ持つため、切削時に工具へ大きな負担がかかり、工具の摩耗や欠けが起こりやすくなります。次に、ステンレス鋼特有の熱伝導性の低さにより加工熱がこもりやすく、変形や加工硬化を招きやすい点も難しさの一因です。とくに焼入れ後の高硬度な状態では、通常の切削工具では刃が立たず、加工そのものが困難になります。

そのため一般的には、軟らかい状態で切削してから焼入れし、その後に研削・放電・磨きで仕上げるという多くの工程を要します。この工程の多さが、SUS440C部品の納期とコストを押し上げる要因となっているのです。

SUS440Cの切削加工で短納期・コストダウンを実現するポイント

難削材であるSUS440Cの加工で納期とコストを抑えるには、いくつかの重要なポイントがあります。

ポイント1:焼入れ材の「直彫り加工」で工程を集約する

最大のポイントが、焼入れ済みのSUS440Cを直接削り出す「直彫り加工」です。従来は焼入れ後に研削や放電、人手による磨きを行いますが、直彫りではこれらの仕上げ工程を省略できます。工程集約によって大幅な短納期化とコストダウンを実現できるうえ、放電加工特有の梨地面にならず、切削のみで綺麗な面に仕上がるという品質面のメリットもあります。ただし、直彫りには焼入れ材を削り切る高性能な設備と技術が必要です。

ポイント2:最適な工法を組み合わせる(工程設計)

マシニング・ワイヤーカット・研削のどれをどう使うかによって、精度と納期は大きく変わります。形状加工はマシニング、細かな溝や抜きはワイヤーカット、仕上げは研削、といったように工法を最適に組み合わせる工程設計が、ムダのない加工につながります。

ポイント3:加工条件・工具選定を材質に合わせる

SUS440Cの特性に合わせて切削条件(送り速度・回転数など)や工具を適切に選定することで、工具摩耗や加工熱による変形を抑え、加工の安定性を高められます。これが結果として、やり直しのない効率的な加工=コストダウンにつながります。

ポイント4:材料の在庫と社内一貫体制を活かす

SUS440Cのような材料を標準在庫として持ち、切削から仕上げ・検査までを社内で一貫して行える体制であれば、材料調達や外注のリードタイムを削減できます。工程が分断されないことも、短納期と品質安定の大きな鍵です。

短納期・コストダウンの鍵は「工程集約」

SUS440Cの加工でコストと納期を抑える最大のポイントは、直彫り加工や工法の最適な組み合わせによる工程集約です。これを実現できるかどうかは、加工業者の設備力とノウハウに大きく左右されます。

SUS440Cの加工なら精密加工部品特急センターにお任せください

精密加工部品特急センターを運営する株式会社理工電気は、SUS440Cをはじめとする難削材・高硬度材の精密加工を数多く手掛けてきました。前章で述べた短納期・コストダウンのポイントを、すべて自社の設備と技術で実現しています。

毎分6万回転の超精密加工機(芝浦機械 UVM-450Dなど)による焼入れ材の直彫り加工を得意とし、放電・磨き工程を省いた工程集約で、基本精度±0.01mm、案件によっては±0.002mmの高精度を短納期で提供します。マシニング・ワイヤーカット・研削・バフ仕上げを組み合わせた一貫加工体制により、他社が敬遠する特殊形状や薄肉部品にも対応。SUS440Cの標準在庫を持ち、検査まで内製化しているため、「1週間納期」といった緊急のご要望にもお応えしています。実際の加工事例をご紹介します。

SUS440Cの加工事例

加工事例|チャック

SUS440C製チャック バフ仕上げ


SUS440C製チャック バフ仕上げの加工事例
材質 SUS440C
サイズ 70×22×27mm
加工精度 ±0.02mm
特長 バフ研磨

円筒状のワークを強固に固定するためのチャック(保持具)の加工事例です。SUS440Cを採用し、マシニング加工およびワイヤー加工を施した後、仕上げにバフ研磨を行っています。ワークを保持する箇所にバフ研磨を施すことで表面を滑らかに仕上げ、ワークへの傷付きを防止しています。

チャック部の板厚が0.5mmと非常に薄いため、バフ研磨の際には部品が歪まないよう、細心の注意を払って製作しました。

加工事例|組立治具

SUS440C製 PUNCH(組立治具)


SUS440C製 PUNCH(組立治具)の加工事例
品名 PUNCH(組立治具)
材質 SUS440C
サイズ 19.5×17×9
加工精度 ±0.01mm

電子部品メーカー様向け、コネクタ組立治具用「PUNCH」の製作事例です。高硬度材のSUS440Cを使用し、公差0.01mmという高精度が要求されました。加工のポイントは、先端部分の加工と、2つの差し込み部分が平行ではなく段差がある部分の加工です。マシニング・研磨・ワイヤーカットで加工したのち、段の部分を再度マシニングで切削しています。

先端部の面取り不可など加工難易度の高い特殊形状でしたが、マシニング・研磨・ワイヤーカットを組み合わせた一貫加工体制により、お客様の「1週間納期」という緊急なご要望にも、自社設備とノウハウで確実に貢献しました。

加工事例|ワークガイド

SUS440C製 ワークガイド(高精度曲面加工)


SUS440C製 ワークガイド(高精度曲面加工)の加工事例
品名 ワークガイド
材質 SUS440C
サイズ 30×10×10
業界 電子部品
加工精度 ±0.01mm

SUS440C製のワークガイドの加工事例です。突起部分とベース部分は削り出しを行い、一体型で製作しています。この事例のポイントは突起部分の曲面で、3Dデータを用いてマシニング加工を行いました。相手部品との篏合のため曲面をきれいに仕上げる必要があり、面粗度Ra0.2で仕上げています。また、曲面部の穴については穴径0.7mmで穴あけ加工を行ってから曲面を加工しました。

当社では、こうした高精度の曲面加工を実現するための最新の加工設備とノウハウを備えています。高精度な曲面加工をお求めの方は、お気軽にお問い合わせください。

「SUS440Cの部品を高精度で作りたい」「焼入れ材を短納期・低コストで加工してほしい」「他社で断られた難形状を相談したい」——そうしたご要望に、専門の設備力と技術力でお応えします。図面はもちろん、現品やサンプルからのご相談も可能です。まずはお気軽にお問い合わせください。

実際に行った加工事例はこちら